カシオ QV−4000について


QV-4000

☆ジャンク度☆
不具合無し
撮影可能


QV-4000
 ライカ判換算で34〜102mmF2〜2.5のキヤノン製光学3倍ズームレンズを搭載する。


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 キヤノン製レンズユニットと単三型電池4本の制約か分厚いボディ。
 グリップが効いてホールディングも良好。


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 旧体系のボタンが多い操作系。


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 液晶ビュワーの他に液晶モノクロパネルを搭載する。
 光学ファインダーを使用して液晶ビュワーを消した省エネ撮影も可能だ。


QV-4000 QV-4000
 マルチモード優先AEの他、オートブラケット撮影も搭載。

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 当時は先端だった400万画素級の撮影素子を搭載。

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 コマンドダイヤルの他、十字スティックも設置した装備満載。

QV-4000 QV-4000
 9点のAFエリアを選択可能。

QV-4000
 それなりにちゃんとした光学ファインダーを搭載。

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 記録媒体はコンパクトフラッシュ。
 電源は単三型電池4本を使用。


 本カメラは2001年8月に登場した400万画素級デジカメである。カシオは同じ年の10月に35万画素級で液晶ビュワーも省略したLV−20を出しており、市場側も供給側も新世紀になっても混乱していたようだ。もっとも、LV−20はカシオが自社で設計したというよりは、台湾か香港あたりの汎用品に自社ブランドを冠しただけのような気がする。そういう意味で言うと本カメラは400万画素級の撮像素子を搭載したデジカメとしては早いモデルだが、レンズはキヤノン製で撮像素子(CCD)はソニー製である。奇しくも前後1カ月でキヤノンはパワーショットG2を出しており、ソニーはサイバーショットDSC−S85を出している。どれも似たようなポジションのカメラだが、あえて言えば本カメラの機能はパワーショットG2に似ており、スタイリングはサイバーショットDSC−S85に似ている。QV−3000EXがプアマンズパワーショットG1と言われたように、プアマンズパワーショットG2と言えなくもない。明確に違うのは、液晶ビュワーがバリアングルではなくフィックスしているのと、バッテリーが専用リチウムではなく単三型電池を使用することだ。
                ☆                 ☆
 ディジグネーション的にはQV−3000EXの後裔モデルとなるのだが、デザインもスタイリングも全く似ていない。素晴らしく綺麗に写るが安っぽくてダサいと言われていた外観と質感をかなり改善している。コンパクトフラッシュの蓋など可動部の耐久性が大いに不安だったQV−3000EXに比べると、だいぶしっかりして安心して使えるようになった。外装も、いかにも安っぽい樹脂然としていたものが金属外装を彷彿させるモノになっている。特に重要なのは、あっさり過ぎて絞り優先AEモードに切り替えるのも階層メニューを掘り下げなければならなかったインターフェイス回りを改善して、モードダイヤルやコマンドダイヤル、プッシュ型十字キーや多くのボタン類を増やして操作系を向上させた。QV−3000EXは、かなり大らかなカメラだったが本カメラは精錬されたカメラとしてデザインしてる。コンパクトフラッシュを縦に格納するほど分厚いボディだが、それはサイバーショットDSC−S85だって同じことだ。電源を単三型電池4本とQV−3000EXを継承しているのはキヤノンやソニーと明確に差別化を図っている。
 レンズはライカ判換算で34〜102mmF2〜2.5と明るい光学3倍ズームレンズである。恐らく、パワーショットG2と全く同じものだろう。撮像素子も同じソニー製らしいから兄弟モデルと言える。光学ファインダーと液晶ビュワーの他にモノクロ液晶パネルを搭載する。これには撮影可能枚数やフラッシュモード、フォーカスモードなどを表示し、液晶ビュワーを消しても光学ファインダーでそれなりに撮影できる。本カメラの燃費はそれ程悪いわけではないが、晴天化で液晶ビュワーが全く見えなくなってしまうので、光学ファインダーとモノクロ液晶パネルを使用した撮影はあり得る。実際、拙僧はそうした。なので、ヒストグラムなど多様な情報を表示する液晶ビュワーは、拙僧にとってはあまり貢献しなかった。カシオらしくベストショットを搭載するが、内蔵するのは5シーンに限られる。しかし、付属CD−ROMに95種類のシーンモードプログラムを用意し、5シーンのバッファエリアに任意のシーンモードをコピーして使えるようだ。いずれにしろ拙僧は使わないが、割とカシオのデジカメはベストショットを押し出して、ベストショット以外の撮影をしようとすると手順が煩雑だったり使い物にならない場合が多いのだが、本カメラは普通にマルチモード搭載デジカメとして撮影者の意図を重要視しているようである。オートブラケットにしろAEロックにしろ、概ね1ボタン1機能を実現しているのに好感を持つが、平たい形状のズーミングレバーは頂けないな。
 本カメラのレスポンスはそれ程良いものではない。しかし、2001年のカメラとしては標準的なレベルである。レリーズボタンを押下して実際に画像を記録するまで3秒を待たなければならない。これは3秒停止したら狙撃兵に打たれる街スナップでは致命的な遅さである。拙僧がそれなりにスナップ撮影をしているのは、図々しいからだと思っていただきたい。知らなかったがAF補助光が光るのでキャンデットフォトをしているつもりでも、確実に気づかれていただろうな。キャンデットフォトで都合が悪いのは、なんと本カメラは感度がISO100に固定なのである。新世紀の高画素数のカメラとしては信じられないな。確かに、当時は何かにつけ感度を上げると画質が極端に悪くなると木偶の坊のように吹聴するメカライターは沢山いた。だからと言って削除しちゃうのはどうかと思うな。拙僧などは写っていればいい(シャッター速度が稼げればいい)と思っているので、更に無停止突撃を不可能にするのは都合が悪いな。

                ☆                 ☆

 デジカメが200〜300万画素級だった頃、殆どのデジカメのマザーボードは三洋電機が作っていたとされていた。本カメラもキヤノンやソニーと兄弟のようなカメラで、どこまでカシオが自社生産しているのか怪しいところだ。画期的な薄型ボディのエクシリムEX−Z3だって、ペンタックスのオプティオSとのコラボレーションだったし、カシオも隠してもいない。そういうのはデジタル時代では当たり前でA社のスマートフォンのアンドロイドとB社のスマートフォンのアンドロイドが違うものだと思っている方はいないだろう。違うと困るしな。
 もっとも、いまだにトヨタの車はミッションからホイールまでトヨタ自動車が自社生産していると思い込んでいる方もいらっしゃるのだ。そういう方は、それはそれで人生を全うするのを見送るべきではないかな。


 では、撮影結果(名古屋散歩編)もご覧いただきたい。

(了:2015/12/24)

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