パナソニック D’Snap SV−AS3について


SV-AS3

☆ジャンク度☆
不具合無し(傷多し)
撮影可能


SV-AS3 SV-AS3
 カシオエクシリムEX−S1並に頼りなさそうなレンズだが、これが綺麗に写る。


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 動画カメラとオーディオプレイヤーを組みあわせたような商品コンセプト。


SV-AS3

SV-AS3 SV-AS3
 光るジョグボールが特徴的な操作系。
 シンプルなアイコンが好ましい。


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 「SDマルチカメラ」が本カメラの正式なポジションらしい。
 バッテリーは多くのメーカーのデジカメに幅広く採用されたNP−60タイプ。




 「D’Snap」が存在したのは、まだ、「松下電器」というブランドが存在した頃である。SDマルチカメラとして松下電器はD’Snapシリーズを位置づけていたが、これは「スチルデジカメ」「ムービーデジカメ(MPEG4)」「音楽プレイヤー」「ボイスメモ」と言った、SDカードを媒体にしたマルチデジタルガジェットであった。初代のSV−AV10は2002年に登場している。これはMustek DV5000のような、一種のMPEG4トイムービーデジカメだったが、そこは一流メーカー製であり単なるおもちゃとは一線を画していた。とはいえ、クオリティはそれなりだったようだが、当時はスチルデジカメでMPEG4動画を撮影出来るモノは稀だったし、スタイリングは精錬されたものだったからガジャット好きには大いに受け入れられたようである。実売で4.5万円ほどしたそうだが、当時は64MBのSDカードが6000円くらいしたからお値打ちだっただろう。拙僧の師団では同じ時期に登場したSV−AV50を装備していたこともあった。こちらはスタイリングは精錬され過ぎてしまって、まるでスターウォーズの同盟国側スペースファイターである。SV−AV10がどうだったのかは所有したことが無いのでだんていできないのだが、SV−AV50はスチル画像も動画画像も一定のクオリティを満たしていた。確かに、撮像素子は小型と思われ、かなり誇張したカラーリングとエッジなのだが、そんなスチルデジカメは他にもあったし、トイムービーデジカメのスチル画像など鑑賞に堪えないモノだった。スタイリングが過激すぎて使い辛い点を除けばそこそこ良いカメラだったと言える。
                   ☆               ☆
 本カメラの登場は2004年である。スタイリングはSV−AV50とはうって変わってシンプルでコンパクトになった。目玉の付いたジッポライターのようである。撮像素子は3.2型と小型ながら300万画素級を登載。レンズはライカ判換算で34.8mmF4の単焦点。特に記載がないが恐らく固定焦点(パンフォーカス)で、最短撮影距離は60cmである。D’Snapシリーズのアイデンティティの一つがオレンジに光るジョグボールを主体とした操作系である。これは一種のトラックボールであり、ポインティングデバイスとしては初期のノートパソコンで採用され、あまり使い勝手が良くないので廃れている。アイコンやメニューを選択するだけのデジカメなら、それほど問題にならないのだろう。実際に弄っていると、結構楽しい。しかし、拙僧個人はあまり好きになれないな。
 最大のメリットはコンパクトなボディだろう。これならポケットに入れるのも嵩張らない。デジカメと音楽プレイヤーとの親和性は古く、フジフィルムのファインピクス40i辺りから実用化している。オーディオ機器とムービーカメラの膨大なノウハウを持っている松下電器からすれば、本カメラのようなコンセプトのSDマルチカメラをデザインするのは片手仕事だろう。バッテリーは様々なメーカーが幅広く採用したNP−60系で、ファインピクス50iも採用している。このバッテリーは比較的タフなモノだったが、流石に現在(2015年)に至っては経年劣化には勝てず、充電機能は満たしても樹脂製外装が剥がれている個体も多い。本カメラはスチル撮影なら約260枚、動画撮影なら約2時間20分を可能とした。当時としては大したものである。レンズの見た目はプアだが、スチル画像もよく写る。勿論、スチル専門のデジカメに比べれば補正のかかった嘘くさい画像ともいえるのだが、そんなデジカメは他にもたくさんあった。ムービーカメラのスチルモードとしては十分だろう。
 一方で音楽プレイヤーとしての機能は落第点である。仕様ではMP3ファイルも再生できるはずなのだが、記録に専用ソフト「SD−JukeBox」が必要なのだ。これが付属の他は有料なのである。たかがMP3ファイルの転送に専用ソフトを必要とする松下電器の度量の狭さを感じさせて不愉快なものだ。なので、本カメラを単体でジャンク駕籠から拾っても、事実上音楽プレイヤーとしては使えない。この辺の事情はHオフのようなリサイクルショップも知らない場合があるので、元箱付きの中古であっても、付属ソフトが欠品でないかを確認する必要がある。
 本カメラの最大の欠点はレリーズであり、シャッターを切るときに背面の動画撮影ボタンを押下しなければならない。これはスチル撮影には著しく不便で手振れのリスクがあるようなシーンでは使い物にならない。折角、それなりのスチル画像を撮影出来るのに実に惜しい。
                   ☆               ☆
 D’Snapシリーズはカメラ機能を持たない音楽プレイヤーと合流した後、2008年辺りで消滅している。D’Snapのコンセプトを携帯電話が実現してしまったからだろう。今も健全なルミックスに対し影が薄いが、CMには浜アユを起用したというし、松下電器も本気だったのだろう。
 もっとも、その松下電器も時代の合理化でブランドとしては消滅し、パナソニックが残るのみである。

 では、撮影結果(三河散歩編)をご覧頂きたい。

(了:2015/1/14)

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