NHJ Che−ez!Stikについて


Che-ez!Stik

☆ジャンク度☆
不具合無し
撮影可能


Che-ez!Stik Che-ez!Stik
 ガラケーみたいに折り畳み式。
 レンズはライカ判換算で52mmらしい。F値は分からず。

Che-ez!Stik Che-ez!Stik
 黄色いボタンがモード切り替え、設定はレリーズボタン。
 シンプル過ぎるインターフェイスデザイン。


Che-ez!Stik Che-ez!Stik
 電源は単四電池2本使用。
 アルカリ乾電池指定。

Che-ez!Stik Che-ez!Stik
 フルセット。
 USBでPCに接続し、専用ソフトで内蔵メモリから画像を転送する。

 旧世紀末から2003年くらいまでトイデジカメというムーブメントが存在した。本物のデジカメは高いし、フィルム代や現像代がかかっても2万円の京セラT*プルーフの方が遥かにきれいな写真が撮れたし、遥かに所有欲は満たされた。とはいえ、撮影画像をメールに添付したり、初期のプリミティブなHPに画像を載せたい欲求もあった。まだ、カメラ機能付き携帯電話が一般的でなかった時代である。そこで実売1万円前後のトイデジカメのニーズが発生した。たいていの場合は液晶ビュワーが無いし、画像だって現在の基準からすればどこにピントがあっているのかわからないような代物だ。しかし、画質的にはちょっと前のマジデジカメのカシオのQV−11だって似たようなものだ。本気でデジカメに投資するつもりもなく、フィルムカメラとは違う使い方ができそうだというガジェット好きの割りとニッチな連中が好んで買った、と拙僧も思っていた。しかし、一説によるとデジカメの販売数がカシオのプリミティブなトイデジカメのカシオのLV−10がソニーのサイバーショットやフジフィルムのファインピクス4500より売れていたという情報がある。サイバーショットがどのモデルなのか断言できないが、多分、サイバーショットDSC−P1だろう。これは販売数であって、当時ハイスペックだった300万画素級のサイバーショットDSC−P1と売上高を比べるのはナンセンスだ。しかし、聞いたこともないトイデジカメメーカーではなく、ちゃんとした伝統的光学機器メーカーもトイデジカメとマジデジカメの中間にあたる、使い物になる簡易デジカメを出すことになる。フジフィルムのファインピクスA101A201やコニカのRevioC2がそういったカメラだ。カシオは400万画素級のQV−4000を出した後にも液晶ビュワーも非搭載のトイデジカメ、LV−20を出している。当時のデジカメは高いだけではなくて、薄らデカかったりして機能は限定的でも小型で廉価なカメラにニーズがあったのだろう。それにしても、思ったより聞いたこともないトイデジカメメーカーが伝統的な光学機器メーカーに与えた脅威は大きかったようだ。
 トイデジカメも新世紀になると、画質はともかくそこそこ使い物になるようになった。それまでのトイデジカメは内蔵メモリ機なのはいいが、電池を抜くと撮影画像が消えたり、何もしていないのに気付くと撮影画像が消えたり、なにかと動作が不安定だった。しかし、トイデジカメも進化して動作は安定的になったし、Che−ez!moni−meでは液晶ビュワーを搭載するようになったし、実質的にトイデジカメと言っていいポラロイドのPDC2070のように200万画素級の撮像素子で記録媒体にスマートメディアを使用するものもあ現れた。PDC2070は1万円を切る200万画素級デジカメとして主にメディア方面で話題になったが、コンシューマの方では既にデジカメにはそこそこのお金をかける価値があると認識していたから、安いというだけで簡単には飛びつかなかったようだ。マジデジカメとトイデジカメの中間として日立リビングサプライのi.megaシリーズは頑張っていて500万画素級のモデルまでは確認できる。これは価格の割りにはよくできている。一方でケンコーのDZ536のようなひどいカメラもあって、この頃になるとトイデジカメというよりはダメな安デジカメとしか見れなくなっている。
                  ☆              ☆
 本カメラは2000年に登場した正真正銘のトイデジカメである。「Che−ez!Stick」と紹介されることもあるが「Che−ez!Stik」が正解である。発音としては「スティク」なので、やはり棒状であることを表しているのだろう。実際に縦型なのだが、ガラケーのように折り畳み式で、折り畳んだ状態でも撮影ができる。中身は従来のプリミティブなトイデジカメなので、ルックスだけで勝負したのだろう。意外とブレ辛く悪い感じではない。
 操作系はボディサイドのオレンジ色のモード切替ボタンとレリーズボタンのみで行う。勿論、液晶ビュワーは非搭載でモノクロ液晶パネルの2ケタの数字表示だけでモード切替と撮影可能枚数を確認できる。モードは撮影モード、クリアモード、連続モード(動画モード)、高画質モード(画質モード)、セルフタイマーモード、に切り替わる。それぞれのモード設定はレリーズボタンで行う。ちなみに電源オフは無いので、タイムアウトで自動オフを待たなければならない。この種のトイデジカメはチップセットが全く同じらしく、Che−ez!シリーズ以外のカメラでも操作系はほぼ同じだ。例えセンチュリーの
SCOOP!だが、数え上げればきりがない。それでも、個々で微妙に写りが違うのはレンズが違ったりするのだろう。
 取説によると撮像素子は30万画素COMSセンサーで出力解像度は高解像度640x480と低画像度320x240の切替式。撮影枚数は高解像度で24枚、低画像度で99枚とある。よっぽど特殊な事情が無い限り低画像度で撮影することは無いだろう。メモリは内蔵メモリ8MBのSDRAM。保存形式は静止画はBMP、動画はAVIである。動画といっても高解像度で2秒しか撮影できない。要するにフレームレート12枚/1秒が2秒分ということだ。レンズはライカ判換算で52mm、F値の記述はない。固定焦点(パンフォーカス)で撮影範囲は0.5m〜無限遠である。電池寿命はスタンバイモードで約1カ月とあるが、本当にそうかな。PCカメラとしても使えて、そのためのアダプターも付属している。スチルカメラよりもPCカメラとして購入した方は少なくないかもしれないな。
 実際に使ってみると、スティック状のボディは案外構えやすくホールディングに貢献している。光学ファインダーはアテにならないが固定焦点でサクサク撮影できる。但し、動作は不安定で20枚以上撮ったところで、いきなり内蔵メモリがリセットされて撮影画像が消えてしまったことがあった。必ずアルカリ乾電池を使えと記述があるのに、エネループを使ったのが原因かもしれないが、不安の残るカメラである。勿論、撮影中に電池交換をすれば撮影画像は全て消えてしまう。
 画像転送は付属の転送ソフトをPCにインストールしてUSBケーブルにて行う。USBの規格はBタイプコネクタで時代を感じさせるが、この種のカメラは独自規格だったりレアな規格だったりするので良心的だろう。ソフトの操作性はそれなりである。画像の記録はBMP形式で行うのでJPEG形式に変換する必要があるだろう。比較的、楽に変換は行える。付属ソフトはWindoesMeまでを推奨していたが、WindowsXPでもひとまず動いた。但し、インストール時に何かしらの警告が出る。拙僧は無視した。なにか障害があるとは思えないが、HNJ/ニチメンのブランドは既にたたき売りされて怪しいコンテンツにつながるので、全く安全とはいない。
                  ☆              ☆
   新世紀早々に流行った典型的なトイデジカメである。それ以上に表現のしようがない。本カメラが他のトイデジカメよりも写りがイイというコンテンツも見付けたが、どうかなという感じである。
 この種のカメラを使うのも一興なのだが、Windows7以降のOSでは動作するかは怪しい。拙僧がRS−232Cが付属したノートパソコンを捨てられないのもシリアルポートを使用するクラシックデジカメがあるからだ。そんなカメラを使うために旧式のノートパソコンを撮っておくのも利口ではないのだが、そうなのだから仕方ないな。
 この種のカメラも既に底払いしてHオフのジャンクコーナーでも見かけなくなった。旧式パソコンを残している方は90年代を楽しんでいただきたい。

 では、
撮影結果(名古屋散歩編)をご覧頂きたい。

(了:2016/5/26)

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