ソニー デジタルマビカMVC−FD5について


MVC-FD5
今となっては知る人知らずのマビカブランドのカメラ

☆ジャンク度☆
不具合無し
撮影可能


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 レンズはライカ判換算47mmF2相当。
 マクロモード切替付きの固定焦点(パンフォーカス)で、当時としては珍しくない。

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 ぼてっとしたボディだが、チェキのようなインスタントカメラだと思えば違和感はない。
 もう少し、グリップが効果的だと良いのだが。


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 バッテリーのタフネスに自信があるから、光学ファインダーは非搭載。
 操作系の合理化がイマイチなので、ボタンやレバー類が多いが、後裔機ではもっと多く複雑になる。


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 レリーズ後の画像記録に時間がかかるが、当時の内蔵メモリ機でも少なくないレベルだ。


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 プリミティブなメニュー。


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 羊羹みたいにデカいバッテリーはビデオカメラ用のもの。
 1.5時間500カットと当時としては異例の稼働時間を誇る。


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 本カメラの最大の特長が記録媒体がフロッピーディスクなことだ。


 「デジタルマビカ」が本カメラのペットネームである。ソニーのデジカメと言えば「サイバーショット」だが、本カメラは系列が別なのだ。「デジタル〜」というくらいだからデジタルじゃない「マビカ」が存在して、それは電子スチルカメラなのだ。このデジタルカメラと微妙に違う代物は説明すると長くなるので、先のコンテンツに譲りたい。何故、ソニーが本カメラにサイバーショット銘を与えなかったのか、明確なリソースは無い。しかし、デジタルマビカとマビカには共通点がある。記録媒体がフロッピーディスクなのだ。今やフロッピーディスクを説明するのはDr.ナカマツを説明するくらい厄介だな。
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 フロッピーディスクについての詳細はWikiに譲りたい。フロッピーディスクのパッケージは縦横約10cmのカード型だから、必然的にボディも大柄になる。本カメラの登場は1997年だから、フジフィルムだとCLIP−IT DS−20のあたりだ。まだまだデジカメが薄らデカい時代だったが、それにしてもデザイン上の制約は避けられない。だからなのか、ソニーは本カメラにビデオカメラ用の大型バッテリーを採用して、500枚の撮影可能を実現している。当時のデジカメは新品のアルカリ電池で20数枚を撮影するのがやっとだったから、これは異例である。そもそも、本カメラは基本的にはビデオカメラのパーツを拝借してスチル撮影に限定したものだ。多くのデジカメがビデオカメラや産業カメラから派生して登場したが、この頃になるとスチルカメラ用のパッケージングが確立し始めている。例えば、本カメラの撮像素子はビデオカメラの転用で走査線単位で記録する。詳しくは説明しないが、普通のデジカメだったら面積一括で記録するところだ。そういう意味でもアナログ感溢れるデジカメである。
 500枚と同様、本カメラは1.5時間の稼働時間を誇っている。そういうのが自慢になる程、当時のデジカメの稼働時間はプアだったのだ。液晶ビュワーを搭載しながら、エコ運用の為に消して光学ファインダーで撮影するのが普通だった。本カメラは光学ファインダーなど搭載していない。液晶ビュワーで撮影できないのはデジカメの長所を消し去るのだが、その先見性を誇ったカシオだってQV−10では非搭載だった光学ファインダーを搭載したQV−70を出している。運用的にはハラショーと思いきや、フロッピーディスクは1.44MBだからファインモードだと20枚前後しか撮影できない。既に100円ショップで入手可能だったとはいえ、フロッピーディスクは嵩張るから、嵩張るボディに加えて500枚の撮影は難しかっただろう。
 肝心の画質はビデオカメラから転用した41万画素級の撮像素子とレンズだから、それなりである。しかし、当時の話だからオリンパスのC−1000/1400Lが異色なのであって、本カメラの特別な欠点とは言えないだろう。なにしろ内蔵メモリ機だって普通で4MBの交換式メディアがひっくり返る程高かった時代である。更に、パソコンに転送するには別キットを購入する必要があるカメラだってあった。Windows95時代のインフラでフロッピーディスクは確かにメリットがあった。
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 本カメラはAFユニットすら搭載せず、固定焦点(パンフォーカス)である。しかし、本カメラには兄弟機として光学10倍ズームレンズを組み合わせたMVC−FD7が存在する。それにはちゃんとAFユニットを搭載しているらしいのだが、ちょっと載せ過ぎじゃないだろうか。更に撮像素子を130万画素級に換装したMVC−FD88Kに進化(?)するのだが、そうなると1枚のフロッピーディスクに3〜4枚の画像しか撮影できない。ソニーはフロッピーディスク+デジカメに相当自信があったらしく、デジタルマビカには85万画素級撮像素子に光学14倍ズームレンズを組み合わせた化け物みたいなカメラも存在する。
 その後、デジタルマビカはCD−Rに記録するモデルに発展していったが、その後の行く末は不明である。ソニーには、そのくらいのフリ幅が欲しいものだが、世知が無い世の中だから、そうはいかないようだ。

 では、撮影結果(名古屋散歩編)をご覧頂きたい。

(了:2014/12/5)

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